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    『丕緒の鳥』十二国記/小野不由美

     ついに!
    十二国記待望の新作短編集が出ましたよ!
    小野主上ありがとうございます!

    新装版で続々と発売される「十二国記シリーズ」。
    今回はわたくし、うっかりしてまして、6月28日発売だと思ってたら26日に出ていて、27日に買うことになりました…。

    で、いつもは速攻で感想をブログにあげているのですが、読み終わったのが昨日でして。
    夜は力尽きて書けませんでした。
    いかんです。


    なにはともあれ、今回も簡単なあらすじとネタバレ満載の感想でまいります。
    十二国記読んだことないよ!という方は、ご注意ください。


    今回は短編集。
    表題「丕緒の鳥」、「落照の獄」、「青条の蘭」、「風信」です。
    「丕緒」と「落照」は、雑誌yomyomに掲載されたもの、「青条」と「風信」が新作です。

    長編のほうは、陽子とその周辺が物語の中心ですが、今回の短編の主役は、下級官吏と国民。
    国が荒れている最中に、人々がどのようにもがき続けているのか、を描いた作品だと思いました。

    ざっくりあらすじ(ネタバレ一応なし):
    「丕緒」:式典のための陶鵲を作る官、丕緒は、自分が鵲に込める思いが王に伝わらないことを憂えていた。新王が即位し、否が応でも新しい陶鵲を作らなければならなくなった丕緒が、表現しようとしたものは…

    「落照」:司法をつかさどる官の瑛庚は、凶悪な殺人犯の処遇に頭を悩ませていた。殺刑が禁止されて久しい国で、民衆の要請に沿って殺刑を復活させるのか否か。

    「青条」:木が石化する疫病が広がっていた。地官府の下級官吏の標仲は、友人の包荒とともに、数年かけて特効薬を探し出す。しかし、腐敗した国では、その薬をようやく即位した新王に届けるすべがなかった。標仲は一人、極寒の地を駆ける。

    「風信」:村を追われ家族を失った少女、蓮花は、行きついた先で春官の下働きをするようになる。世間の混乱や災害には全く目を向けずに、ひたすらに暦を作り続ける官吏の姿に、蓮花は憤りを感じつつ、彼らの仕事に興味をもっていく。

    <あらすじここまで>


    表紙と挿絵の話も。
    表紙は丕緒ですね。あまりにも無精ひげのおじさんで、ちょっと意外でした。
    官吏って、もっとピシッとしてるイメージだったので。

    挿絵は、各話の扉絵として4枚です。
    どれも登場人物&小道具ですね。
    丕緒にちょっとびっくりした以外は、これといった感想はないかなぁ、今回は。

    どうも、長編のときの人物の濃さとは違って、人物をとおして描かれていることに、話の焦点があるからでしょうか。

    (感想は「続きを読む」から)

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      …さて、これからネタバレ満載の感想です。
      未読のかたはご注意ください。


      「丕緒」:初読ではないので、ああこんな話だったな、という感じ。
      国政にかかわることのない官吏が、自分の役職をとおして王に伝えたいことがあるのに、それが伝わらないもどかしさ。
      伝わったと思ったのに、拒絶されたむなしさ。
      そんな感じで、虚脱しきった日々を過ごしていたら、想像力もなくなってしまった、という。
      最後に、それまで自分一人で頑張ってきて、親友ともよべる同僚たちの思いに耳を傾けていなかったことに気が付くのが、何ともよいですね。
      そして、造りだされた儀式の美しいこと!これ見てみたい!!

      …ところで、雑誌掲載時に、ある方が感想に書かれていたことですが…
      予王に悲惨な射儀をみせて呼び出された場面。
      景麒の、「主上はとても傷ついておられる。」にたいして、
        ”知ってるよ!聞きゃわかるよ!わざわざいうことかよ!!”
      というツッコミをしてしまった、と。

      今回読んでいて、電車の中で吹き出しそうになりました(笑)
      ほんとだよ景麒、そんなこと言われなくてもわかるよ。
      どんだけ朴念仁なのあなた。
      せっかくシリアスなのに。


      「丕緒」だけでなく、今回の短編すべてに対して言えることですが、主人公側が国王サイドを全く知らないんですよね。
      文字通り雲の上の方々。自分には全く関わりのない存在。
      そんな風に書かれているから、彼らのやるせなさが際立ちます。
      同時に、読者のほうは国王サイドを熟知しているので、そこにメタな楽しみがあるわけで。

      まさに一粒で二度おいしい。


      「落獄」:これも雑誌で読み済。
      あまり定かな記憶ではないんですが、これが掲載された時かその少し前、さんざんニュースで死刑制度に関する議論があったような気がしています。
      なので、この話を読んだときは、「あれ、ずいぶんと時事問題まっしぐらな題材なんだなぁ」と思いました。
      しかも舞台が柳だし。

      丕緒とは違って、瑛庚は国官でもかなり上位にいるので、自分の決断に国の今後がある程度かかっている、という責任があります。
      凶悪犯は許せない、私情では殺してやりたい、でも国情としては殺したくない、自分が殺人を決定したくない。
      この辺の、法律と怒りと恐れがないまぜになっている問題が、とても丁寧に描かれていると思いました。

      今回の4作の中で一番重くて、現代日本でも通用する内容の話かな、と思います。


      「青条」:延王にすべてを持っていかれた感じ。
      ほか3作と違って、どの国のどの時代が舞台なのか、なかなかはっきりしなくて読みながらじりじりしました。
      ひょっとしたら、『海神』に地名が出てきていたかしら、と後から思ったのですが、ちょっとそんな地方の名前まで憶えてないよ…。

      なので、国が判明したのが話の後半に入って、「玄英宮」の名前が出てきてから。
      それでもまだ、芳がどうとか恭がどうとか、ちらちら言われていたので、時代まではいつだか判別つかずに、じりじりしていました。

      んで、新王即位したよー→誰だろう。。。
      「新しい地官遂人は、話の分かる人物だと」(p.281)→帷湍きたー!てことは尚隆だーー!!
      ですよ。
      「延王」という名前さえでていないのに、この圧倒的な存在感。
      さすが超大国を築く予定の名君です。


      ほかの3作は、どの国のどの時代かが話のはじめで分かる、と書きましたが、それには絶大な効果があるのだと、「青条」を読んでいて思いました。

      「丕緒」は、慶ということは分かっているし、偽王&新王⇒陽子のことだとわかります。
      とりあえず、読者は安心して結末を待てます。
      陽子ならわかってくれるよ! みたいな。

      「落獄」は、重い話ではあるけど、落ち着く先はなんとなく見えます。
      傾き始めている柳の様子を、内側からものぞいているだけ。
      この国はこうやって倒れていくんだな…的な。

      「風信」も、次に書きますが、予王の時代のことなのはすぐわかるので、読者は、もうすぐ陽子がくるよ!と思って読めます。

      ところが「青条」は、それがない。
      行きつく先が見えないまま、だれが助けてくれるのか、あるいはだれも助けてくれないのか、それがわからずに、標仲の旅についていくことになります。
      彼の焦り、彼の絶望、彼の葛藤は、そのまま読者のものです。

      孤独の中で戦ってきた標仲が、青条の蘭を手放して、民の手にゆだねられた時、ようやく読者に希望が見えるのです。
      玄英宮。
      まったく、この名前のなんと頼もしいことか、ですよ。
      これまでの経験から、読者は玄英宮に対して、絶対の信頼を置いていますもんね。

      それでも、どの王がいるのかわからない間は、「たぶん…大丈夫…」程度の希望なんですけどね。
      「地官遂人」なんて出てきたら、「よっしゃ帷湍だ。じゃぁ尚隆だし大丈夫!」となりますよ。
      だからこそ、王宮に苗が届けられたかどうかが、直接は描写されないんですよね。
      だって、もう大丈夫だって思ってるもの。

      そんなわけで、最後でものすごく安心したと同時に、ここまで華麗に存在感を誇示してくる延国主従に笑ってしまって、そのあと落ち着いて読めなくなったのでした。


      「風信」:安心と安定の慶国。
      ひとりひとりの非力な人たちが、自分の務めをこつこつとこなしていく話だと思いました。
      うーん、正直、「青条」にやられたせいで、ものすごく移入して読めたわけではないのですが…(^_^;)

      蓮花の憤りは、もっとも。
      人の命より、世間の問題より、自分の仕事(しかも頭脳系)のほうが大事なのか、と。

      一方で、そういう仕事の人たちが、たとえば自分の仕事を放り出して、人命救助に当たったとして。
      知識も経験も体力もない彼らは、きっと足手まといで、そして、本来の仕事ができないことで、他のところで不都合が生じるんでしょう。

      階級が違う、役職が違う、専門が違う。
      そうすれば、おのずと見えることもしなければならないことも違ってくるので、誤解や不理解があることも事実。
      だけど、蓮花の憤りのぶつけ方は、やっぱり子どもじみてるなと思うところもあり(子どもだし)。
      反対に、清白たちは、自分たちの仕事に引け目を感じているのもだけれど、まっすぐに怒ってくる子どもをどう扱えばいいのかわからない、という感じにも見えます。
      ちょっとほほえましい。

      それから、この話と「青条」で、動植物の繁殖方法が詳しくわかりましたね!
      設定が掘り下げられていくのも、物語を読む楽しさです。
      繁殖方法はまったくことなる世界ですが、植物や動物は、天の気運が整っていくのを、人間よりも敏感に感じ取れること。
      それによって、時代がよくなることがわかること。

      そのへんの仕組みが面白く感じられました。




      全体を通して、読んでスカッとなるような内容ではなかったですが、国と人との関わりについて、ものすごく深く考察されていると思いました。
      国政に関係あってもなくても、それぞれに思うことがあり、すべきことがあり、誰かに希望を見出したいと思っている。
      そんな様子が、描かれています。

      民は結局、雲の上の王様に希望を見出している。
      で、王様サイドでは、しぶとく生き続ける民こそが、希望になっている。

      今回は、今までよく知らなかった民や官吏のことを知ることができました。


      さてさて、次回は『図南の翼』が9月末ですね!
      珠晶好きだから楽しみ!!



      丕緒の鳥 十二国記 短編 新作 新潮社 小野不由美 読書感想 小説 ファンタジー

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