スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

0
    • -
    • -
    • -
    • by スポンサードリンク

    Jane Austen "Pride and Prejudice":エリザベスとダーシーと小説の関係

    今回も、ジェイン・オースティンの『高慢と偏見』の感想です。
    全体的な感想というより、突っ込んだ内容になりますので、未読でネタバレがだめなかたは、今のうちに避難してください。



    以前、BBCのドラマの方の話ですが、

    「リジーははじめっからダーシーの事が気になってたのよ。そうじゃなきゃバカにされたのにあんなに気にし続けることないじゃない」といっている人がいました。

    わたしは、リジーは「嫌い→好き」変化だと思っていたので、「無意識好き→好き」というのは驚きでした。

    で、今回読みながら、その辺も気にかけて見たら、大変おもしろかったです。
    もう、リジーがダーシーを意識し過ぎ。


    オースティンの作品は、ほとんどが主人公の視点で物語が進みます。
    一人称というわけではなくて、主人公が知らないことはほとんど描かれていない、という意味で。
    つまり、語られる物語は、たとえナレーターのコメントや説明が入っていたとしても、基本的に主人公やそれをとりまく人の視点というフィルターを通して、語られているのです。


    (続きながいのでたたみます↓)
    0
      さて、ダーシー氏の描写ですが、まずこのように始まります。

      ”... but his [Bingley's] friend, Mr Darcy, soon draw the attention of the room, by his fine, tall person, handsome features, noble mein; and the report which he was in general circulation within five minutes after his entrance, of having ten thousand a year. THe gentlemen pronounced him of a fine figure of person of a man, and the ladies declared he was much handsomer than Mr Bingley, ... " (Pride and Prejudice, p.12)

      まずビングリー氏が舞踏会の会場に入り、お金持ちで、立ち振る舞いが立派で、ハンサムな好青年であると描写されます。
      で、次に来るのがダーシー。外見や行動に対するほめ方は普通の範疇ですが、ビングリーの2倍の年収があるとわかった途端の、周りの評価の仕方がなんとも極端で笑いを誘います。

      ところが、上の引用の文章の後半には、もうこき下ろされる運命にあります。
      こんな感じに。

      "... till his manners gave a disgust which turned the tide of his popularity; for he was discovered to be proud, to be above his company, and above being pleased; and not all his large estate in Derbyshire could then save him from having a most forbidding, disagreeable countenance, and being unworthy oto be compared with his friend. "   (Pride and Prejudice, p.12)

      まさに、あげて落とす、という感じの評価の豹変っぷり。
      お金持ちかどうかが、ひととなりに大きく左右する一方で、やっぱりいくらお金があっても人となりが駄目だと話にならない、というのが、舞踏会に来ていた人たちの評価のようです。


      で、リジーのダーシーに対する評価も、大体後者と同じです。
      このpre-judgementが、のちのちまでリジーの目を曇らせることになります。
      そしてこのフィルターが、他の人物に対する評価も左右しています。

      リジーと対面のときはこんな感じにビングリーvsダーシーで描写されることが多いのですが、彼らが顔を突き合わせることは、意外に少ないのです。
      特に、ビングリー一行がネザーフィールドを去ってからはそうだし、ウィッカムが一緒にいる時はダーシーは同席していません。

      そのわりに、ダーシーの名前はひょいひょい文中に出てきます。
      それは何故かというと、リジーがよくダーシーと誰かを比べるから。
      だれか=ウィッカムとフィッツウィリアムですけどね(コリンズはリジーの眼中にないから)。
      つまり、リジーにとっては、「意識する程度の好青年」=「ダーシーよりもましな人」というわけ。
      ビングリーと比べてどうこう、という言い方はしていません。
      それはもちろん、この二人がダーシーとなんらかの関わりを持っているからではありますが。


      ウィッカムのことが話題にのぼれば、彼にひどい仕打ちをした(ということになっている)ダーシーの名前が出たりほのめかされたりするし、
      フィッツウィリアムは、彼のいとことは全く違って、楽しい紳士的な人だ、というふうに描写されます。


      物語の後半、ダーシーに対する誤解が解けて、なおかつ彼の態度も変わると、
      今度はリジーの家族の品のなさやら何かを見るにつけて、ダーシーの判断の正しさが引き合いに出されるようになります。
      んで、次第に「こんなことを知られたら、彼に嫌われるんじゃないかしら」に変わっていくと。



      このような小説の構造から、
      「リジーってば最初っからダーシーを意識してるんじゃない!」と読むことができます。
      そう思いながら読んだので、今回は大変おもしろかったです。
      リジーってば、ほんとにダーシーのこと忘れられないんだねー、とおもいました。

      また、ダーシーは小説の半分くらいは登場していないので、再びリジーと顔をあわせたときに、読者に存在を忘れられてしまってはいけません。
      初登場のときに設定された、「高慢ちきで嫌な奴」フィルターは大変効率的に「好青年」を量産でき、なおかつそのインパクトから、繰り返し引き合いに出されても自然に映ります。
      なので、ダーシーは存在感を薄めるどころかだんだんと濃くしていきながら、次の登場場面を待つことになるわけです。

      この辺の構造が、ほんとうにうまいしおもしろいです。
      やっぱりオースティンは、人を書くのがうまいなぁと思います。
      キャラ読みしても構成読みしても楽しいことが、おもしろい小説の必須要素だなと思った次第でした。



      にほんブログ村 本ブログ 海外文学へ
      にほんブログ村

      [検索ワード] 高慢と偏見 ジェイン・オースティン Pride and Prejudice Jane Austen 読書感想 小説 英文学 洋書 批評 小説の構造 イギリス

      スポンサーサイト

      0
        • -
        • 23:29
        • -
        • -
        • by スポンサードリンク

        コメント
        管理者の承認待ちコメントです。
        • -
        • 2018/05/18 8:17 PM
        コメントする








           

        search this site.

        calendar

        S M T W T F S
            123
        45678910
        11121314151617
        18192021222324
        25262728293031
        << October 2020 >>

        selected entries

        categories

        archives

        クリックお願いします☆

        にほんブログ村 本ブログ 海外文学へ にほんブログ村 本ブログ 洋書へ ブログランキングならblogram

        ブログピープル

        参加中

        ちょこさんの読書メーター

        2013 Reading Challenge

        2013 Reading Challenge
        Chooko has read 0 books toward a goal of 100 books.
        hide

        カウンター

        recent comment

        • 嵐が丘 /エミリー・ブロンテ "Wuthering Heights"
          ETCマンツーマン英会話
        • ガリヴァ旅行記 /ジョナサン・スウィフト "Gulliver's Travel"
          ちょこ
        • ガリヴァ旅行記 /ジョナサン・スウィフト "Gulliver's Travel"
          ysgr
        • 映画『レ・ミゼラブル』/「民衆の歌(エピローグ)」についてのあれこれ
          ちょこ
        • 映画『レ・ミゼラブル』/「民衆の歌(エピローグ)」についてのあれこれ
          だいこん訳者
        • 洋書カフェ “ToBiRa Cafe”にいってきました
          ちょこ
        • 洋書カフェ “ToBiRa Cafe”にいってきました
          Yoshi
        • 新装版『風の万里 黎明の空』十二国記/小野不由美
          ちょこ
        • 新装版『風の万里 黎明の空』十二国記/小野不由美
          Mana
        • 映画「図書館戦争」の公開が4月27日とか
          ちょこ

        recent trackback

        • ”Heaven is for Real” 『天国は、ほんとうにある』/トッド・バーポ
          0ing

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        エマ (上) (ちくま文庫)
        エマ (上) (ちくま文庫) (JUGEMレビュー »)
        ジェイン・オースティン

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        recommend

        links

        profile

        others

        mobile

        qrcode

        powered

        みんなのブログポータル JUGEM

        使用素材のHP

        Night on the Planet フリー素材*ヒバナ *  *

        PR