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    内田樹『街場の読書論』『街場の文体論』

    評価:
    内田樹
    太田出版
    ¥ 1,680
    (2012-04-12)

    評価:
    内田樹
    ミシマ社
    ¥ 1,680
    (2012-07-14)

    しばらく小説ばかりだったので、久しぶりに読んだ評論(になるのかな?)です。
    面白くて、2冊一気によんでしまいました。
    といっても、それなりに時間かかっているんですけどね。


    まず『街場の読書論』。

    はじめの「読書棚」では、様々な世界文学を発端として、興味深い議論が展開されています。
    メモを取りながら読む、という癖がついていないもので、具体的になにがどうよかったのか、というのが難しいのですが…。
    すでに読んだことのある作品もいくつか取り上げられていました。
    短いながらも、読み応えのある文章で、ふむふむなるほどー、と思いながら読みました。

    この、「ふむふむなるほどー」が結構すごいことで、原作を全く知らないで読んでいるのに、なんとなくその作品のポイントが分かった気になるのです。
    内田氏が『読書論』の後半の部分でもなんどか繰り返していますが、「リーダビリティー」=読みやすさ/理解のしやすさ、というのが、行きわたっている文章なんだと思います。

    読んだ後で、自分も賢くなった気がするのです。

    後半部分では、ご自身の著書などに関するコメントや随筆が展開されています。
    こちらも、私は内田氏のほかの著書を読んだこともないのに、
    「ほうほう、これはこういう本なのね、なるほどためになった」、と思わされるので、お見事としか言えません。

    本を読むことについて、本について、本を書くことについて、考えるきっかけをくれる本でした。


    次に『街場の文体論』。

    こちらは、神戸女子学院大学での「クリエイティブ・ライティング」の講義をまとめたものだそうです。
    なので、『読書論』とは異なり、全体がつながっています。

    話は「創造的な文章を書くこと」「エクリチュール」から始まり、言語学や語学教育、日本語のこと、書くという行為のことなど、四方にわたります。
    内田氏は(本を読む中でわかったことには)、フランス文学・哲学を専門とされているので、そちらの方面の話も随所に織り込まれています。
    私は生憎フランス語はできないので…せめて英語に置き換えられるかなぁと考えたりして読みました。

    私も仕事でまがりなりにも言葉を扱っているので、言語学や語学教育に対する内田氏の論には、興味深い点がいくつもあり、また自分の認識を改めさせられることもありました。

    「語学というのは、自分の利益のためにするのでは上達しない、他者の文化に同期することをとおして、自分の内面を豊かにするという目的でなければ、ある程度以上できるようにならないし、結局、自分の檻から抜け出すこともできない」(うろ覚え)
    という論を読んだときには、ああ、自分が感じていたのはこれなんだ、と思いました。
    いままで、この感じを言語化できていなかったのですが、ここで出会えたので、これから使わせていただこうと思います。

    ともあれ、言葉って奥が深いな。


    それから、本書のなかでも散々繰り返されている、リーダビリティーのことも、よくよく考えさせられました。
    まだ考えているだけですが。

    誰にでも読みやすい文章、というのは無理ですが、自分がメッセージを届けたい人が読みやすい文章、を書けるようになりたいものです。

    ここで読者の設定が出てきて、脳内では「読者」の存在に関する議論が繰り広げられていくわけですよ…
    門前の文学屋は、なかなか難儀です。


    内田氏はブログも持っておられますが、これもまた興味深い内容で、読書や教育に限らず様々な分野のことを書いておられます。
    そちらもぜひ。


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    内田樹 街場の読書論 街場の文体論 書評 読書感想 語学 教育 読書

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      『「ホビット」を読むー「ロード・オブ・ザ・リングズ」への序章』川原有加

       タイトル衝動買いです。
      だって、時間なかったし、この題をみたらとりあえず買わざるをえなかったんです。
      映画公開に合わせて、2013年に刊行された『ホビット』本ですが、内容は映画ではなく原作を扱った評論ーというか、論文ですね。


      個人的な評価ですがー
      初心者向けとしては★×3.5
      玄人向けとしては★×1です。

      その最大の要因は、トールキンの略歴と"The Hobbit"執筆&出版の経緯、
      物語のあらすじと人物紹介に、本の半分以上を割いていること。
      反対に、種々のテーマに関する考察が少なく、考察があまり深くないこと、です。

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        『シェイクスピアに出会う旅』熊井明子

        イギリスに留学する前は、シェイクスピアにまこれっぽっちも興味がなかったのですが、授業で勉強して舞台を見てからというもの、シェイクスピアの楽しさに取りつかれています。
        といっても、がっつり読み込むほどではないので、たまに目にすると楽しくなる、程度ですが。

        なので、この本も図書館に出ていたのを思わず手に取ってしまいました。
        ただの随筆ならば読まなかったかもしれないのですが、本書の構成は

             第1部 シェイクスピアの香り
             第2部 シェイクスピアへの旅
             第3部 シェイクスピアを楽しむ

        となっていまして、第1部の「香」の部分を読んでみたら面白かったので、借りるに至ったわけです。

        わたしはシェイクスピアの研究書には全く詳しくないので(それこそ膨大な量がありますし)、実際はどうなのかわからないのですが、シェイクスピアの作品に出てくる植物とその香りをテーマにした本はこれがはじめて、と銘打ってあります。

        で、1部では、シェイクスピアの戯曲に出てくる植物や、その香りが当時どんな用途に使用されていたかなどの解説があり、なかなか興味深いです。
        一口にバラといっても品種によって香りが違い、花言葉や連想するイメージも様々なため、場面ごとに読みわけが必要であったり。
        そういった解説や考察は大変興味深く、さらに知りたくなりました。

        一方で、出典や参考文献が載っていないので、自分で調べようとする時にはまったく参考にならないのが弱点でしょうか。
        ある程度品種まで特定するのであれば、出典はほしかったなぁというのが正直なところですね。


        また第2部第3部になると、シェイクスピア作品の考察ではなく、シェイクスピアに絡めた著者のイギリス旅行の思い出や、シェイクスピア関連の商品への言及がおもになります。
        著者のファンで随筆にこそ興味がある、という人にはとても面白いのではないかとおもいます。

        が、読み始めが学術的興味によっていたため、わたしはあまり受け付けませんでしたね…。
        個人的な嗜好ですが、「きっとシェイクスピアもこうしたのではないのかしら…」のような、想像たくましく夢見るような文体が頻繁に出てくるのは苦手でして。
        ついつい妄想してしまう著者の気持ちも十分わかるんですけどね。
        自分も気をつけなくちゃいけないと思いました。


        えー、そんなわけで、学術的興味からこの本に対する評価は低いのですが、「シェイクスピア関連の軽いエッセイが読みたい」という人にはとてもおすすめです。
        イギリス行きたくなりました、またしても。

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          『探究するファンタジ-』成蹊大学文学部学会

          あとがきによると、
          「本書は、成蹊大学において2008年と2009年の好機に、経済学部・工学部・文学部・法学部の四学部の学生が自由に選択できる国際教養科目「歴史に学ぶ(神話と中世のファンタジー)」というテーマのものtに行った一連の講義に基づいている。講義の趣旨は、日本のゲームや漫画に繰り返し現れる怪物退治、魔法、妖精、騎士、聖杯、剣などのモチーフを表層的に理解するのではなく、それらの系譜を西洋の古代や中世の時代から現代まで伝わる神話や文学作品の中にたどり、その生成と発展の後を様々な角度から探究することであった。」(pp.291~292)
          ということだ。

          このあとがきからの引用で、本書と主旨はよく表されている。
          はじめ、タイトルから「文学研究」の本かと思って手に取ってみたが、いい意味でそれが裏切られた。
          読み進めながら考えたのは、この本がいう「ファンタジー」とは、近年流行の「ファンタジー文学」というライトノベル的なジャンルのことではなく、もっと深遠なものだということ。
          本書内にある言葉をいくつか借りて表現するならば、“目に見えないものが「目に見える」ようにされたもの”、その“目に見えないものとは、白昼夢的な妄想や空想ではなく、人間が生きるうえで必要として想像するもの”であるように思えた。
          短い言葉でまとめるには、あまりに抽象的かつ具体的な概念だ。
          抽象的というのは、それがもちろん“目に見えないから”であり、かつ具体的というのは、それが“目に見える形で残っている”(文学作品その他のかたちで)からであるけれども、その“目に見えるもの”を分類してひとまとめにするには、範囲が広すぎるせいだ。
          すくなくとも私にはそう思える。

          しかし、本書の各論文を読みながら、わたしが意図していた「ファンタジー」というもののかたちの大部分がここで研究されている、とも思った。


          本書の目次は以下の通り。()の中は、扱われている作品/題材とわたしにわかる限りでの研究の視点。

          1:神話とファンタジーの始まり―西洋と日本― 吉田敦彦 (「先史時代のヴィーナス像」の西洋と日本の比較。そこに見られる大地母神信仰の様相。)
          2:ニーベルンゲンの系譜―その循環構造― 三浦國泰 (叙事詩『ニーベルンゲンの歌』とニーベルンゲン伝説)
          3:聖杯探求におけるファンタジー 多々谷有子 (『ペルセヴァルまたは聖杯の物語』『聖杯探求の物語』『アーサー王の物語』『アーサー王の死』などの「聖杯物語」における「聖杯」の役割、物語の構造。)
          4:中世英国ロマンス『オルフェオ卿』と『ローンファル卿』の構造分析 田辺春美 (プロップ、グレマス、カファレノスの論理を用いた構造分析。)
          5:"There's magic in thy majesty"―『冬物語』における彫像の魔術― 正岡和恵 (『冬物語』における「彫像」の解釈と、魔術と妖術の境界。)
          6:トールキンのファンタジー ―創造力の源泉としての中世英語・北欧語文献学― 伊藤盡 (『指輪物語』『シルマリルの物語』『妖精物語について』など。トールキンの創造神話を文献学の立場から探る。)
          7:メアリー・ポピンズは魔女か―ファンタジーとしての児童文学の転覆的効果― 大熊昭信 (『風に乗ったメアリー・ポピンズ』『帰ってきたメアリー・ポピンズ』など。メアリー・ポピンズの聖女性と魔女性の研究。フェミニズム研究。)
          8:精神分析とファンタジー/幻想―カズオ・イシグロ「ある家族の夕餉」における「臍」 遠藤不比人 (フロイト他の「夢/幻想」から見るイシグロ作品。)




          自分の理解に偏りがあるのが申し訳ないですが…
          この本を手に取った動機がもろに第6章です。とても面白かったですよ。
          その6章にのみ関する感想になりますが、言語というものはその土地の風土、歴史、生活、思想に基づいているので、言語と文学を切り離して考えることはできないなぁ、ということです。
          私の英語に対する興味も、わりとこの路線なので、なおさらそう思います。

          というか、改めて考えてみると、私の興味がその方向に走ったのもトールキンの作品の影響なんですよね。
          良くも悪くも、わたしもトールキンの孫なんだなぁと思います。


          全体としては、分からない部分を飛ばしたり理解の及ばないところもありましたが、内容の濃い本でした。
          文学、とか、この時代、とか区切らずに、広範囲で「ファンタジー」について論じているという点で、貴重な本だと思います。



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